現代日本の「老後」を考える 評・渡辺一史 : ライフ : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 そもそも社会保障とは何だったのか。いずれの本を読んでも感じるのは、今回噴出した問題は単純に「人ごと」では片づけられないことだ。貧困といえば、自分とは関係ない「あの人たち」の問題という意識をまず変えなくてはならないし、生活保護や福祉制度の利用者を「悪者」と決めつけるような発想も改めなくてはならない。そうした短絡的なバッシング感情に流されることは、私たちの社会をますますセーフティネットなき荒野へと追いやってしまう。

 

 しかし、今の現役世代とて、非正規雇用やワーキングプアなど雇用環境が劣化し、年金さえかけていない若者も今や珍しくない。十分な貯蓄がないまま、高齢期へとなだれ込んでいく人が今後ますます増えると予想され、このまま問題を放置すれば、若者の老後が「時限爆弾」のように社会にコスト増を求めてくるとの指摘には強い説得力がある。